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竹島先生のこと

by yoshimura1212 last modified 2007-07-07 13:12

努力は無限

本日のNatureに京都大学薬学部の竹島教授の論文が掲載されています( Nature 448, 78-82)。これまで数々の極めてレベルの高い仕事を発表されて来ましたが今回の仕事も竹島流のすばらしい仕事でNature 3 報分に値します。私の知る限り同等のレベルの論文を竹島先生はNatuerにこれまで少なくとも3報は出しています。NatureやScienceといっても完成度は様々ですが竹島先生のお仕事は常に最上位クラスのもので賞賛に値するものばかりです。竹島先生は久留米大学時代に私の隣のラボにおられたかたです。分野が違うので理解は出来ないでしょうがざっと図をながめてください。そのすばらしさは感じられるでしょう。

 竹島先生は沼研(沼先生とは故・沼正作京都大学医学部教授)の出身でそこで鍛えあげられた人です。沼研のモットーは”努力は無限”(もっともこれは沼先生自身の造語ではなくマラソンランナーの瀬古選 手の言葉だと言われている)。そこで竹島先生は助手として数年を生き抜きましたが竹島さんでなければとても耐えられなかっただろうと言われています。彼こそが”イスに座ったところはみたことがない”と言われていたひとです。竹島先生
本論文ではこれまで謎とされていた重要な問題にアタックしています。Ca2+放出チャネルは15年以上前に分子同定されていましたが、Ca2+を放出するためには、それに伴い発生する一過性のマイナス荷電を中和するために、筋小胞体/小胞体膜を横断するカウンターイオンも透過させねばならない。そのためにカウンターイオンの膜透過を仲介するチャネルの存在が示唆されていましたがその分子は不明のままでした。竹島先生はそれに関与すると思われる分子を単離し、生化学的、生理学な性質を調べ、ノックアウトマウスを作製、さらにKOとWTを比較して生理的な意義を明確に示しています。揺るぎのない論理構成がこのひとの論文の特徴です。決して小さな仕事でごまかさない。久留米でも東北大でも少人数でこつこつと粘り強く重要な問題に挑戦を続けられた。流行を追うことはしない。逆に流行をつくるひとです。本当に尊敬に値する人だと思います。

考え方の流れはオーソドックスであり奇をてらったところはありません。
では何が抜きん出ているか?それは2つのポイントがあると思います。まずひとつの論文にこれだけのデータと材料をつぎ込んで完成度の高い仕事をしている。もうひとつはやはりこれまで長く残されていた謎に明快に答えている点です。


大学院生もポスドクもこのような研究のしかたを見習うべきです。私も改めて竹島先生のすごさに感銘を受けまた自分もこのような仕事をしなければいけないと痛切に感じました。

我々も新しいことや重要な問題にチャレンジしよう。それこそがサイエンスの醍醐味だと思う。研究費のために研究をするのは本末転倒である。

生理:TRICチャネルは細胞内ストアのCa2+ハンドリングに必須である
TRIC channels are essential for Ca2+ handling in intracellular stores p78
Masayuki Yazawa, Christopher Ferrante, Jue Feng, Kazuhiro Mio, Toshihiko Ogura, Miao Zhang, Pei-Hui Lin, Zui Pan, Shinji Komazaki, Kazuhiro Kato, Miyuki Nishi, Xiaoli Zhao, Noah Weisleder, Chikara Sato, Jianjie Ma  &  Hiroshi Takeshima
doi:10.1038/nature05928