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学振申請書の書き方

by yoshimura1212 last modified 2007-05-11 14:56

通る申請書、通らない申請書。簡単なヒントを。適時加筆予定。

DC,PDに通るためのヒント

自分のラボの学生の申請書を読んでいると、どうしたらこうも読みにくい魅力のない申請書が書けるのだろう、と嘆かずにはおられない。
DC,PDの申請書の書き方は多くの情報がネットで流れている。本気で通りたいと思っている人ならその一つや二つは必ず目を通しているだろう。
例えば
http://www.estat.us/kaz/id13.html
は有名であるが有料バージョンもあるようだ。金まで出してどんなありがたい情報が得られるのか興味があるが、そこまでしなくても絶対守って欲しいというヒントはある。ネットの情報はどうも範囲が広そうで直接我々の役に立つか疑問であるがここでは医学関係に絞る。

私は審査員もしたことがあるのでいくつかぜひ気をつけていただきたいことを述べる。この情報をもっと早くネットに流せばもっとこのHPを訪ねてくれるひとが増えたかもしれない。

(1) ともかくクリアに書くこと。
まず何を明らかにしたいか、何が疑問でそれを解けばどんないいことがあって、またそれを解決するための方法が妥当でかつ斬新であるか明快に書いていないといけない。

審査員は全員がその分野の専門家ではない。例えば基礎医学の医化学一般に出しても審査員の専門はまちまちである。生化学だけでなく癌の専門家もいる。どこまで説明したらよいかはかなり悩むことではあろうが、ある程度一般的なことから説いて一般的にこれを解決したらこんなにすごいことがわかるとか人類の役に立つということを少しでも説明して欲しい。当然いきなり専門用語に入ってはいけない。

(2) ともかく重要なテーマを選ぶこと。
専門外の審査委員でもテーマの重要性がすぐにわかるくらい重要なテーマにする。もちろん自分の扱う分子はその一部かもしれない。それでも究極的な目標は重要なはず。

(3) 長い文章をだらだら続けてはいけない。文だけでは理解しずらい。図や図式を使ったほうが何をどうしたいのか理解してもらいやすい。審査員は30以上の申請書をみなければいけないので理解してもらうというサービス精神が重要。ちゃんとそこに書いてあるじゃないか、なんて通用しない。一文を長くしないのはどんな文章でも鉄則。

また主語述語を明確にすること。審査員は文章を解読はしてくれない。学生の以下の例を参考にして欲しい。

悪い例(2)

よい例(2)


(4) 今の申請書には非常に懇切に、覧の上のほうに書くべきことを明記してある。これに沿って書けばまず間違いない。この指導すら守れない申請書はほとんど見る気がしない。例えば最初のページの”現在までの研究状況”には 
1.これまでの研究の背景、問題点、解決方策、研究目的、研究方法、特色と独創的な点について当該分野の重要文献を挙げて記述すること。2.申請者のこれまでの研究経過及び得られた結果について、問題点を含め1で記載したことと関連づけて説明すること。
と書いてある。 
背景、問題点、解決方策、研究目的、研究方法、などなどと項目をつけてそのまま書いていったらよい。ここまで過保護にしなくてもよさそうなものだが、この形式で書いてもらったら読むほうは本当に読みやすく理解しやすいだろう。
ところどころ要所で文献があれば説得力が増すし図表があればわかりやすい。
さらにこれまでの経過や結果にも”最も重要なデータ”や”模式図”があればずっと説得力がある。
 
(5) 複数の関連のない仕事をしている場合は次の本当の申請内容にもっとも関係の深い項目に絞るべきである。もちろん数行で説明して発表論文をあげればよいだろう。

(6) 背景が長過ぎて何をしたいのかはっきりしないのは困る。最後まで読む気がなくなる。
例えば免疫分野だと免疫応答の説明をするだけで半ページ以上になってしまうことがある。それでは申請者が何を解明したいのかわかるまでにかなりの時間がかかる。例をあげよう。
免疫応答は正負の細胞が同時に活性化されて巧みに調節されて進行する。この制御機構が破綻すると自己免疫疾患やアレルギーに発展する。正の細胞としてはTh1,Th2、、、、、こうやってThを説明しだすときりがない。

悪い例(1)

よい例(1)

を比べて欲しい。前者では延々免疫やヘルパーT細胞の説明をしているので一体何をやったのか相当先まで読まないとわからない。専門家でない者にここまで読んでもらうのは難しい。また悪い例では同じいいまわしが何度も出てくる。無駄な文章は省いて明確にメッセージを伝えなければならない。

よい例ではそれらの点がかなり改善されていることがわかるだろう。

(7) 自分の仕事ほとんど知らない友人や彼女(彼)に読んでもらうとよい。自分では当たり前のことが世間では全然当たり前ではない。
 
(8)  逆に読む気がしないのはあれもこれもと書き込んでいるもの。文章に論理性がなく、何をしたいのかが最後のほうにならないとわからない文。文字だけで図がない申請書。論理性の欠如した文章は最も読む気がしない。幼稚な文章も先に進めない(文学ではないのだからうまく書く必要はない。わかりやすく具体的に書く)。目的と方法が一致しない文章は論外。論理的な文章構成ができないひとは自然科学分野には実は向かないので指導教官と将来をよく相談したほうがよい。

悪い例(3)

よい例(3)

(9) これまでの業績は最も重要な項目のひとつ。客観的な判断材料だから。PDはfirstは2報欲しい。PDはもちろん1報はあるだろう。もしたくさんある場合は先に書いたように絞って説明したほうがよいだろう。DC2は1報欲しいが、しかし必須ではない。Firstでなくてもよいから共著のを入れて自分の申請とどう関係があるのか説明をして欲しい。DC1は論文はないかもしれないが学会発表でもなんでもよいから少しでも入れるとよい。DC1は内容勝負か。ただ自分と関係ないひとの論文や発表をいれてはいけない。発覚したらすぐに落とされるし一生不名誉をおいかねない。

(10) "現在までの研究状況"と"これからの研究計画"には関連性を持たせたい。そうでないと審査員は2つの全く関連性のないことを読ませられることになる。修士ー博士一貫であれば問題なく継続性があるだろうが、博士からラボを変わったとかなると難しくなる。しかし新DC1でも1ヶ月は新しいラボの仕事をしているだろう。 "現在までの研究状況"の後半1/3を現在の研究状況にあてるなどの工夫をして修士時代の研究をうまく現在の研究につなげたい。

(11) PDは受け入れ先をよく吟味し、その分野で日本でも最先端を走っているラボを受け入れ先にしたほうがいいに決まっている。そのラボにいくことが何故申請した研究にとって有利かを説明する。

(12)  先輩に頼んで通った申請書と落ちた申請書を複数よく見比べるとよい。 実はこれが一番効果的かもしれない。もし差がわからない!と思ったら君はやはり指導教官と将来を相談すべきかもしれない。