何故論文が出ないか
何故top-journalに出せないか?
何故論文がでないか。
2006年はNature姉妹紙Cell姉妹紙に3報ほど出ているがすべて共同研究。それでもこの年はJEM2報、Gastroenterology2報とかなり健闘している。一般のラボ以上のacitivityと言ってよいだろう。しかし2007年は共同研究もなければ10点以上の雑誌も皆無。もちろんMCBなどもある。すでに論文数としては4月で10報以上報告しており見た目にはそう悪くはない。しかし中身をみると、もはや我々は普通のラボに成り下がったかと思わずにはいられない。
もちろん研究費の影響は大きい。これまで学術創成があったのでマウスを相当受託飼育できた。そのために必要な時に必要なマウスを相当量供給できた。これがなくなったために大学院生に飼育をまかせているのでスピードがかなり減速しているのは否めない。また飼育スペースもない。研究費の差は大きい。
大学院生が主体であるために大きな冒険ができない。じっくりと時間をかけて完成度の高い仕事にできない。この1年卒業のための論文作製に追われた。
そういうこともあるが、KOマウスの解析で論文が出ていた時代が次第に終焉を迎えつつあるということも事実であろう。SOCSに新鮮味が減った。Spredはヒトの遺伝病の関連がみつかったのでその点は希望が持てるが、マウスを有効に活用するにはもうひと工夫必要だ。ERKにのみ帰結してしまうとまた新規性に乏しいという評価になりかねない。やはり新機軸が必要なのだ。雑誌は知的な面白さを求めている。
しかし、なにより最も痛いのは我々独自の新規性あふれる説が出せないことだ。いや新しい説を考えていないわけではない。むしろアイデアは豊富だ。Th17とiTregのバランスの維持機構やそのサイトカインやSTATによる制御。Foxp3誘導性DC。βグルカンやPKC経路による新しい制御機構。我々の方向性は全く間違っていない。なぜなら、それはここ最近Nature immunology, ProNAS, JEMなどに同じ結論の仕事がどんどん発表されていることから明らかだ。ただ我々は負け続けているだけだ。半年から1年は遅れている。当然論文出しても非常に厳しいコメントが多い。新規性がない。著者がその分野で認知されないと論文が通らないことはよくある。陳腐な話しでもtop-journalに出ることはある。しかし我々はサイトカインからヘルパーT細胞や樹状細胞に中心を移したとたんに通すことが難しくなった。これまではSOCSやSpredのKOを使うことによってある程度敷居を下げることができたが、もはやそれでは新規性に乏しいで切られてしまう。
この状況を打破するには方法は4つしかない。
(1)地道に論文を出しヘルパーT細胞や樹状細胞の分野で認知される。しっかりしたデータ、精密な解析結果を出しこの分野の専門家を納得さ
せ、次第に我々もその一員になれるように努力する。
(2)アイデアは皆同じ。我々が考えていることは全く間違っていない。競争に負けないように実験を効率よくやる。スピードも大事。
(3)もういちど原点にかえって新規の分子、新規のKO、新規の現象で勝負する。それで独自性を維持する。最も簡単そうだが、これまでの経験からはそうそう新規なものがころがっているわけではない。新規な分子なら解析に数年かかる。しかしtryし続けなければ前進はない。
(4)ある程度覚悟を決めて応用に活路を見出す。SOCS,
Spredそれなりに世界をリードしてやってきた。基礎的なところはかなりわかった。次は治療等への応用というのは自然な流れ。
まだまだ過渡期なのである程度苦しいのはしかたない。しかし他所にないもの
をうちは持っているはず。それを最大限生かしたい。いつまでも”また先をこされた”ばかりではいられないし、それであきらめるつもりもない。要は気合いだろう。